えんぴつ学び場キーワード

さんかく「ステキな学び場」に関するキーワードの解説です。

フリースクール

  海外で数多く見られる、独自の教育理念やカリキュラムに基づいた個性的な「学校」です。おおむね国家の学校制度にとらわれない自由な教育システムを持っており、それに賛同する子ども、家族、教師などによって運営されています。
日本でも以前からそうした欧米の自由教育の影響を受け、独自の「学校」作りの運動がなされてきましたが、近年は、不登校の子どもたちの受け皿として、地域で個人や親たちが中心となって設立した学校外の子どもたちの学びの場を総称してフリースクールと呼ぶ場合が増えています。
  欧米では制度上認可された私立学校であることが多いのですが、日本では、年々地域での需要が増える一方で、ほとんどが法人格を持たない任意団体であるために、結果として無認可の教育機関という位置づけになっています。
  日本では定義があいまいであり、公的な設置基準等もないので、フリースクールという呼称自体が、運営する人の意志によって自由につけられています。次項のフリースペースなどに比べると比較的学習カリキュラムに重点が置かれていますが、既存の学歴や資格の取得にこだわることなく、さまざまな体験に基づく本質的な学びの、より幅広い探求を目的としている傾向があります。形態や規模もさまざまであり、既存の学校選び以上に、子どもや家族の主体性が求められています。
  今後は日本でも、不登校の子どもたちの受け皿としてだけではなく、前途のオルタナテイブスクール同様、既存の学校に対するもう一つの新しいシステムの教育機関として、さらに個性的な「学校」が各地域に誕生し、それぞれの子どもたちが自らの興味や目的に応じた積極的な学校選択が広がっていくことでしょう。しかし、制度外の「学校」であることから公的な補助はなく、社会的支援も少ないことから、ほとんどが苦しい財政での運営を余儀なくされており、近年はNPO法人格を取得したり、地域の支援者と共に新たに相互支援ネットワークを創る動きも出始めています。

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フリースペース(通所、寄宿)、居場所

  前述のフリースクール同様、そのほとんどが、主に学校に行かない子どもたちや障害を持つ子どもたちが地域で安心して過ごせる場所として、当事者家族や支援者によって設立された経緯を持っています。法人格を有しない任意団体がほとんどであり、活動としては学習よりも共通の生活体験をしたり、人間関係を広げたり深めたりすることが中心となっています。
  フリースクールもそうですが、ここでも、おとなは教師のように教えたり指導するという立場ではなく、あくまで子どもたちに寄り添って、その自主的な活動をサポートする役割を持っています。
形態としては、個人または親たちなどの共同による運営が一般的で、原則通いの場合と、共同生活を行う寄宿の場合があります。いずれもまずは気持ちが癒され、安心できる状況の中で、さまざまな人々との関係や体験を重ねつつ、子どもたちが自分らしさと自信を取り戻すための空間であることを大切にしています。
フリースペース、居場所という呼称もそれぞれ運営する人々が自主的につけるものですが、居場所の意味としては、活動のプログラムをあえて決めずに子どもたちが自分たちの気持ちやペースに合わせて、自ら興味関心をゆっくりと広げつつ共に生きていくという気持ちがより重視されています。
  フリースクールやフリースペース、居場所すべてに共通する理念として、おとなが子どもたちを指導したり、変えようとするのではなく、子どもたちの意志を最大限に尊重しつつ彼らが自ら学び変わっていくことを傍らで見守り、共に考えながら必要な時に支援する、ということがあります。

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オルタナテイブスクール

  一般的に「もう一つの学校」と訳されますが、既存の学校の代替物というのではなく、独自の教育理念に基づいた、従来の学校とは本質的に異なるシステムによる新しい教育機関という意味合いで使われ始めています。教育の多様化に伴う、選択可能な学びの場の総称であり、日本ではフリースクール、サポート校などが自らの分類として使用しています。日本の従来の教える教育から、子どもたちの主体性に基づいた学びの実践を指すものとして定着しつつあります。

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サポート校

  通信制高校に在籍する生徒が、高校生活を充実させたり、単位修得のための学習サポートを受けるために通う、もう一つの制度外の学校です。
  その多くは学校法人ではなく、学習塾や民間企業などの経営によりますが、それだけに個性的な学校も多く、この10年くらいで、100校を超えるほどの勢いで全国各地に開設されています。
  そのシステムはほぼ全日制高校と同様のスタイルで、授業のほかクラブ活動や生徒会などを行っているところもあります。また逆に、学習の補習だけに限定した学習塾のような内容のところもあるなど、実にさまざまです。
  急激な増加の一方で、子どもや家族にとって選ぶ為に必要な情報が不足しており、選択の際には十分な情報収集と事前の見学などが不可欠です。
  サポート校は、高校とより連携を強めている技術連携校、学習のみの補習を行う学習塾的なところ、そして生徒の生活面や精神面をサポートするフリースクール的なところといった、大きく三つに分類されます。

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定時制高校、通信制高校、単位制高校

  一般的に、いずれも全日制課程と比較され、比較的学力が低くても入れる高校といったイメージがありますが、近年は、子どもたちのライフスタイルの多様化に伴い、学力が低いからという理由ではなく、自分に合った高校選びといった視点であえてこうしたシステムの高校を選択する人が増えています。
定時制高校は必ずしも夜間というわけではなく、昼間の定時制もあり、大学に近いシステムで生徒が自らの興味を生かせるように科目を選択できる柔軟さを持っています。通信制高校は、全日制のように毎日通学することを前提とせず、仕事を持ちながらでも高卒取得が可能であるなど、年齢も募集地域も幅広いシステムです。単位制高校は、学年の枠組みの中でさらにそれぞれの生徒の生活および学習スタイルに単位履修が可能な学校です。
  近年、こうしたそれぞれのメリットを生かして、通信制で学年の枠のない単位制高校が増えており、不登校や中退経験者のみならず入学者が増加するなど、より主体的な高校生活を過ごしたい、自分のペースを大切にしたい人にとって適したシステムとした再評価されています。

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ホームスクール(ホームベイズドエデュケーション)

  文字どおり家庭を基盤とした、子どもと家族を中心とした学びの形態を意味します。
アメリカでは、「学校」による「統制教育」から逃れ「家庭」を拠点に学びながら成長するこの新しい教育の形が1970年代後半から広がり始め、現在すでに200万人のホームスクーラーがいるともいわれています。また、多様な教育システムが保障されている欧米では、一般的な教育スタイルとして定着しています。特にLDなどの子どもたちや、英才教育のための個別学習として、近年のインターネット普及の影響も受けて、急激な増加傾向にあります。 
  日本では不登校の子どもたちの学習や成長の場を保障したいという親たちの運動によって広がってきた背景があり、現在全国で1000家族を超えるホームススクーラーがいると見られています。
  しかしフリースクール同様、不登校だからということではなく、既存の教育に対する新しい学びのスタイルを大切にしたいという考え方も以前から日本にもあり、今後は、学校に行かないからホームスクーリングというのではなく、子どもそれぞれの個性や能力に応じた個別学習の一つとしてより一般的なるものと思われます。
  ホームスクーリングというと、家庭だけで学ぶというイメージが持たれがちですが、むしろ、地域社会すべてを学びのステージにしてしむという多様性、柔軟性を持っており、必要に応じて、学校や地域のさまざまな教育機関なども利用するので、ホームスクーラーに対して必ず問われる社会性の問題も、ホームスクーラーを支援するさまざまな人々や活動の広がりが見られる中で、今後はそれほど心配する必要はないと思われます。

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大検

  「大学入学資格検定試験」略して「大検」は、高校卒業資格のない人が、大学や専門学校を受験するための受験資格を得るための制度です。高卒とは異なるので、進学しない場合は中卒ということになりますが、進路選択が多様になるに従って、年々受験者数も増えており、2001年度からはそれまでの年1回であった受験機会が2回になるなど、さらに利用者は増えると見られています。
  また近年は、大検のみを単独で利用するのではなく、通信制や単位制高校との併用なども目立ち、不登校や高校中退の増加に対する一つの選択肢として注目されています。受験は、個人単位で行われますが、受験および学習サポートのための大検予備校も各地にあり、多くの学生が利用しています。

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チャータースクール

  1990年代から米国に広がり始めた「手作り」の公設民営の公立学校です。教育官僚制の統制を離れて、独立校として地域社会に責任を負いながら、独自の教育活動を行っています。2002年現在、全米で2700校を超える勢いで増加していますが、それでも現状ではまだ公立学校全体の2%を占めるにすぎません。日本でも数年前から、各地で日本型チャータースクールを創る運動が始まっています。
  チャータースクールの最大の特徴は、公教育を保護者、市民、民間企業などにその運営の大部分を特別に委託することを認める点にあります。いわば、公教育の民営化ともいえますが、より地域の特性や利用する子どもや保護者などのニーズを尊重した内容の学校作りが、全国一律の基準の下ではなく、それぞれの自己責任の範疇で、独自に開設運営できるということになります。
  日本の場合、このような制度が実現することにより、それまで無認可であったフリースクールなどが公的に認可されながらも独自の教育活動を継続することも可能になるかもしれません。今後行われる学校教育の制度改革では、やはり、米国のチャータースクール制度が現実的でしょう。新しい教育理念、学校像を追い求める教師・保護者・市民のグループに対して特別許可状(チャーター)を交付し、公立学校の新設を認めるこのシステムのよさは、既存の公教育の土台には手をつけず、あくまでもプラスアルファの形で新タイプの学校を誕生させるプラグマイズム(実用主義)にあります。
公教育の枠組みにふさわしいものなら、どんな種類の学校作りであれ、新規挑戦を奨励するが、作ってみてダメと分かったら、チャーターを取り上げてつぶしてしまうバランス感覚も見習うべきかもしれない。

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不登校(登校拒否)

  不登校(登校拒否)は、かつて「学校恐怖症」といわれたように、子ども個人の病理現象として認識されることが主でしたが、学校に行かない子どもたちの増加と、当事者家族と地域の人々による居場所作りの運動などの影響もあって、1992年に文部省(当時)より出された「登校拒否はどの子にも起こりうる」という認識の転換を境に、徐々に社会的事象としての認識へと変化しています。
  文部科学省の発表では、2003年度の小・中学生の不登校は13万人を超えていますが、実際に学校にほとんど通っていない子どもたちの数はその数倍であるとの認識が一般的です。そもそも、13万人もの子どもが行きたくない/行けない学校というものについて、別の視点からとらえ直す時期に来ているといえる出しょう。
近年は、不登校(登校拒否)という呼称以外に、教育形態の多様化に伴い、「選択登校」といった呼び方もされるなど、子どもたちが主体的な学びの環境を選択していくプロセスの一つとして、必ずしも否定的ではないイメージに変わりつつあります。
  子どもが学校に行きたくない、またはいかなくなった時、学校や公的機関では、スクールカウンセラー、臨床心理士などの専門家が対応することが多くなっていますが、民間でもフリースクール、親の会をはじめとするさまざまな受け皿が各地に広がっており、まずはそれらの情報収集が重要です。

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引きこもり(閉じこもり)

  近年さまざまな社会事件に関連して、20~30代にかけての引きこもり(閉じこもり)についても社会的に注目されています。かつては「不登校が治らないと引きこもりになる」といった誤った認識もありましたが、必ずしも不登校の延長線上に引きこもりがあるわけではなく、大学生になってからの引きこもり、一度社会に出てから引きこもりなども目立っており、社会の価値観が多様化する一方で、生きる目的や社会での自分の位置づけが見出せない若者が増えていることが、一つの背景であると考えられます。
  引きこもりとひと事でいってもさまざまな理由、原因が関係しており、家から一歩も出ないこと指すだけでなく、周囲の人々との関係を極端に絶った状態での社会的引きこもりもクローズアップされています。
  最近は、当事者同士のネットワーク、自助グループなどもできつつありますが、依然、家族や本人にとって十分な情報、居場所などの受け皿、相談機関などのサポート体制が不足しており、本人のみならず、家族もまた孤立してしまうことが懸念されています。

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学習障害(LD:Learning Disabilities)
  学習障害は1960年代アメリカで命名されました。文部科学省は、「基本的には、全般的に知的発達の遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する。または推論する能力のうち、特定のものの修得と使用に著しい困難を示すさまざまな状態」と定義づけています。
  近年、専門機関をはじめとして、さまざまな支援が行われるなり、大学や専門学校など高等教育機関への進学も増加しています。また地域で、学習障害の子どもたちを中心に受け入れているフリースクールなども増えており、親の会など当事者によるネットワーク活動も広がりつつあるので、有益な情報が比較的入手しやすくなっています。
  また、小学校での学級崩壊などに関係して、LDはADHD(注意欠陥他動性障害)と共に取り上げられることがありますが、多くの場合その定義が正確に理解されていない傾向があり、きちんとした情報収集と医療機関など信頼できる専門機関での診断が重要です。
しかし、何よりも大切なのは、そうした子どもの特性を否定的に見るのではなく、子どもそれぞれの長所をきちんと見つけながら、適切な体験やトレーニングを行うことでしょう。


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